肝不全とは肝臓の機能が大きく低下した状態のことで、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、脂肪肝、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、アルコール性肝疾患などが進行して起こる肝臓の病気の成れの果てです。こうなると治療は移植しか手がない状態です。それゆえこれら肝臓の病気についてよく知り適切な治療を受けることは肝不全に進展するのを防ぐためにも大変重要となってきます。
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肝不全とは肝臓の機能が大きく低下した状態のことで、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、脂肪肝、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、アルコール性肝疾患などが進行して起こる肝臓の病気の成れの果てです。こうなると治療は移植しか手がない状態です。それゆえこれら肝臓の病気についてよく知り適切な治療を受けることは肝不全に進展するのを防ぐためにも大変重要となってきます。
ウイルス肝炎にはA型、B型、C型、D型、E型肝炎が知られていますが、十分な知識と適切な治療を受けることにより、治癒あるいは進行を止めることができるようになってきています。その際、B型肝炎、C型慢性肝炎については国からの補助を受けて先進的な治療を受けられますのでお気軽にご相談ください(当クリニックは愛知県の肝疾患専門医療機関の指定を受け助成申請もおこなっております)。
垂直感染(産道)水平感染(輸血や針刺し、ピアスなど)で感染しHBキャリアの多くは自然経過において80%くらいは鎮静化し、20%くらいが慢性肝炎に移行していくとされています。厚生省研究班のガイドラインでは肝機能ALT(GOT) 31IU/L以上、HBV DNA 3.3LogIU/ml以上で治療適応とされています。
症状がなくても肝機能が正常でも潜在的に進行して肝硬変や肝がんに至ることも少なくありませんので適切なフォローが必要です。
治療目標はHBV DNAの持続的な抑制と肝機能正常化です。最終的には肝硬変・肝がんへの進展予防です。治療にはインターフェロンによる治療とHBVの増殖に必要な逆転写酵素を阻害する核酸アナログ製剤による治療にわけられます。インターフェロン治療は若年者や内服薬フリーを目指すために使用されますが、適応や使用には経験豊かな医師のもとで行うことが望ましい治療法です。そしてもう一つの核酸アナログ製剤による治療はウイルスの増殖を強力に抑えることができますが、死滅させる作用はないので投与を中止すると高率に再燃してくる可能性があるということと、投与中に効き目がなくなり肝炎が再燃してくることがあります。そのためETV(バラクルード®)、TDF(テノゼット®)、TAF(ベムリディ®)といった薬剤耐性の少ない核酸アナログ製剤を経験豊かな医師の指導の下で使用し、しっかりと制御することが必要となってきます。
そしてさらに最近注目を集めているのはB型肝炎ウイルスの再活性化現象です。 すなわちこれまではHBS抗体陽性なのでもう心配がないと言われていた病態や、HBS抗原陽性でもHBV DNAは陰性なので安心して良いとされてきたHBキャリアーの患者様においても、下記疾患の薬剤治療中や病態でHBV DNAが再度増殖し慢性肝炎が再燃することがあると報告されています。そのため定期的な採血によるフォローの上、治療が必要となることがあります。免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤、抗悪性腫瘍剤、抗リウマチ剤、抗ウイルス剤など服用されている患者様においては、B型肝炎ウイルスの再活性化が起きて慢性肝炎が再燃・進展した例が認められており、十分な注意が必要と指摘されています。 詳しくはお気軽にご相談ください。
感染すると高率(60-70%)に慢性肝炎状態に移行し自然消失はほとんど期待できません。そのためC型慢性肝炎の治療は肝機能正常患者を含めた慢性肝炎患者が対象となり、治療目標はHCVの完全排除と肝機能の正常化であり最終的には肝硬変肝がんへの進展予防です。治療にはこれまでのインターフェロンを中心とした治療法に加えて最近は、副作用の少ないインターフェロンフリーの経口剤による治療が可能となり、しかも、90%以上の患者様でウイルスの除去・排除が可能となってきています。大変高価な薬で助成申請が必須です。当クリニックでも積極的に導入しておりますので、適応や副作用についてなど何でもお気軽にご相談ください。
タイプI型慢性C型肝炎・代償性肝硬変; | SOF/LDV EBR/GZRなど |
タイプ2型慢性C型肝炎・代償性肝硬変; | SOF+RBVなど |
自己免疫性肝炎は原因不明の慢性肝炎で自己免疫機序がその進展に関わっていると推測されています。すなわち自分の肝臓細胞にもかかわらず自分で傷害する、破壊しているというものです。健診でよく軽度の肝機能障害を認めていたが「症状もないので大丈夫だろう」と自己判断し放置、あるいは近医の内科医で診てもらったが、大したことがないと言われそのままにしていたというケースが少なくありません。そうしたケースの中に本疾患がしばしば紛れているので、健診の肝機能異常が軽微といえども一度はしっかりと専門医の診断・指導を受けるようおすすめします。
これまで「脂肪肝では肝機能異常はそれほど進展しないので放置してもよい」とか「大した肝機能異常ではないので心配ない」と言われそのままにしてきた人も少なくありません。また健診でチェックされても「どうせ脂肪肝だから問題ない」、「大したことない」と自己判断したり「自分の肝機能異常はお酒の飲み過ぎが原因だからお酒を控えればいい」と軽視してきた人が多く見受けられます。
1998年NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の概念が提唱され、アルコールを原因としない脂肪による慢性肝疾患が注目されるようになってきました。日本においてもメタボリック症候群の増加に伴い注目されています。脂肪の貯留により様々なサイトカインが放出されることに加え、インスリン抵抗性や鉄の代謝異常、酸化ストレスなど様々なファクターが複雑に絡んでウイルス肝炎と同じように慢性肝炎を起こし進行性肝がんを引き起こすことがあるので専門医による慎重なフォロー・アップが望まれます。
上記各種肝疾患の末に合併してくるガンです。ただしB型肝炎ウイルスに関しては慢性肝炎・肝硬変を経ることなく併発することがあるので、注意深く腹部エコーを始めとする画像診断によるフォロー・アップが必要と考えます。早期に見つければ完治させることができるので専門医でのフォロー・アップをおすすめします。
肝疾患については日本肝臓学会専門医で実績と経験豊富な当院長にお気軽にご相談ください。